燻製は食材に煙をまとわせます。

燻煙(スモーク)は木材などを不完全燃焼させることで生じるものですので、「体に悪い成分が含まれているのでは?」「スモークされている国産の鰹節はEUへの輸出ができないと聞いたことがある」などの心配をされる方は少なくありません。

事実、燻製には発がん性を有する物質が含まれています。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 燻製は体への害はないのか?
  • 燻煙にはどのような成分が含まれているのか?
  • 燻製法による違いはないのか?

燻製の極端な多食は良くありません。

燻製には木材が不完全燃焼する際に生じる煙(燻煙)が利用されています。燻煙には多環芳香族炭化水素(PAH)などの発がん性を有する成分が含まれており、国際連合食糧農業機関(FAO)や世界保健機関(WHO)では低減に関する実施規範を示しているほどです。

しかし常識的な範疇での喫食に問題はないと考えています。

スポンサーリンク

燻製の悪い成分とは?

燻煙には様々な成分が含まれています。

木材の燻煙には、微生物の増殖を抑制するホルムアルデヒドや酢酸などの有機酸の他、抗菌活性を有するフェノール化合物などが含まれています。pHが下がることにより微生物が増えにくくなり、抗菌性によって酸敗臭が生じにくくなります。

燻製が日持ちするのはこれらの成分によるものです。

  • カルボニル化合物:殺菌作用
  • フェノール類:殺菌作用、抗酸化作用
  • 有機酸類:殺菌作用
  • アルコール類:殺菌作用

しかし燻煙には抗菌化合物以外の成分も含まれています。

特に問題とされるのが多環芳香族炭化水素類(PAH)です。PAHには発がん性が証明されており、すべての木材において燃焼温度が高くなるほどに多く生成されます。そのため、商業用の燻製器にはPAHの付着量を少なくする工夫が施されています。

このことが「燻製は体に悪い」という意見の根拠になっています。

燻製とPAHリスクの関連性は?

燻製を過度に問題視する必要はありません。

燻製のPAH濃度が高いことは事実です。特に燃焼温度が高すぎて強い苦味が生じてしまっているような場合には、PAH濃度が高くなりリスクが高くなる可能性があります。このことからも燻製は木材の燃焼温度も含めた温度管理が重要になってきます。

以下は農林水産省HPからの一部引用です。

燃料を部分燃焼/不完全燃焼させるためには、温度が重要である。一般的に、PAHの生成は温度の上昇とともに増大する。煙の組成は温度に依存しており、温度を調節してPAHの生成を最小限とすべきである。

過度に心配する必要はありません。

PAHは有機物が不完全燃焼及び熱分解された結果として生成されるものですので大気中にも存在しますし、通常の調理(焼く、炒める、揚げるなど)によっても生成されています。常識的な頻度で燻製を楽しむ程度であれば問題の生じるリスクは低いと考えられます。

多環芳香族炭化水素類(PAH)の説明では不安をあおるような表現になってしまっている部分もありますが、基本的には無視してもらっても大丈夫です。たとえば燻製に含まれる有害物質と同様の成分は炭火焼きや焚火などによっても生成されるほどに身近なものです。

炭火焼きや焚火を不安視する方は少数派であるはずです。

食べてもリスクが低い理由は?

燻製には微量の毒性物質が含まれています。

しかし呼吸器系と消化器系とでは毒物に対する反応が異なるという研究結果があります。たとえば同量の毒性物質が体に入ると仮定した場合、煙として吸い込んだ場合と比べて誤飲してしまった場合には毒物反応が1/100程度になるそうです。

また燻製を楽しむ頻度はそう多くはないはずです。

日常的に燻製を取り入れている家庭であっても「週末には燻製を楽しんでいる」「市販のベーコンではなく自家製のベーコンを使用している」「毎晩の晩酌にスモークチーズを食べている」などのようにアクセント的に取り入れている場合が大半であるはずです。

その程度で問題が起こるのであれば、とうの昔に規制されています。

まとめ・燻製は体に悪いのか?

燻製は食材に煙をまとわせることにより香気と彩りが加わります。

燻煙の静菌性及び抗酸化的な役割により保存性も良くなります。しかし同時に多環芳香族炭化水素(PAH)などの発がん性物質も生成されてしまいます。多少の有害性があることは事実ですが、常識的な範疇であれば問題になることはありません。

どうしても気になる場合には頻度を落とすなどして対処することをおすすめします。