卵には特有の臭いがあります。
たとえば茶碗蒸しやカスタードプリンなどにおいて「卵臭い(生臭い)」と感じることや、ゆで卵などで「硫黄臭い(温泉臭い)」と感じることは少なくありません。このような経験により手作りの卵料理を苦手とする方がいても仕方ありません。
しかしすべての卵に臭みがあるわけでもありません。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 卵臭さが生じることのある理由は?
- 卵臭さの仕組みや種類は?
- 卵臭さを防ぐためには?
卵が臭いと感じられる原因には複数あります。
代表的なものには「卵白の硫黄臭さ(温泉臭さ)」「卵黄の甘くバターのような風味」「褐色卵品種の魚臭(トリメチルアミン)」「魚粉飼料や飼育用農薬による異臭」などがあります。基本的には鮮度やニワトリの飼料に起因しています。
このことからも臭いの原因を知ることは臭みを避けることにつながります。
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鮮度による卵臭さとは?
卵は鮮度が落ちることで臭くなります。
産卵直後の卵の風味は強くありません。卵の特徴的な風味(卵白の硫黄臭さや卵黄のバターのような風味など)は保存期間により強くなっていきます。時間経過による風味の変化には品種や飼育環境による影響はありません。
産みたての卵ほど癖がないということです。
- 卵白:鮮度が落ちると温泉臭さ(硫黄臭さ)が強くなる
- 卵黄:時間経過で甘くバターのような風味が強くなる
卵臭さは加熱により際立ちます。
加熱調理された卵には100~200種類もの芳香成分が確認されています。その中でも特徴的なのが卵白の温泉臭さです。卵白の温泉臭さは60℃以上での加熱時間が長いほどに強くなっていきますので、必要以上の加熱は臭みの原因になります。
また鮮度の低下と加熱調理により少量のアンモニアも発生しています。
潜在的な卵臭さとは?
卵の色や風味は飼料に影響されます。
たとえば穀物にトウモロコシを与えられて育ったニワトリの卵の卵黄は濃いオレンジ色になりますが、米を与えられて育ったニワトリの卵の卵黄は薄い黄色になります。また植物性タンパク質を多く与えられたニワトリはあっさりとした風味の卵を産む傾向があり、動物性タンパク質を多く与えられたニワトリは濃い風味の卵を産む傾向にあります。
その他には品種による違いもあります。
褐色卵品種は菜種や大豆に含まれているコリン(リン脂質)を代謝できません。そのため代謝されなかったコリンは腸内細菌によってトリメチルアミン(魚臭さを持つ分子)に分解されて生臭い卵の原因になります。
このように品種と飼料の相性によっても卵の風味は変化します。
卵臭さを防ぐには?
卵臭さを防ぐには鮮度の良い卵を選びます。
多少鮮度の落ちている卵を使う場合には少量のレモン果汁などを加えることで卵臭さが和らぎます。これは酸によって「硫化水素(H2S)の発生が少なくなる」「塩基性(アルカリ性)の臭い成分が中和される」などの効果が得られるためです。
また加熱後に時間を置くことが効果的である場合もあります。
卵臭さの一因となっている硫化水素は揮発性です。茶碗蒸しやカスタードプリンなどに卵臭さが生じてしまった場合であっても時間を置くことで臭いは和らぎます。特にカスタードプリンの場合には翌日以降に食べると効果的です。
少量の酸を加えるテクニックはとても効果的です。
まとめ・臭みのある卵の原因は?
卵臭さには複数の要因が考えられます。
要因の多くは鮮度にありますが、まれにニワトリの飼料に起因している場合もあります。このことからも卵の臭いが気になる場合には「鮮度の良い卵を使ってみる」「少量の酸を加えてみる」「卵を変えてみる」などの対策が効果的です。
またニワトリを飼育している場合にはエサを変えます。特に低価格帯の配合飼料を使用していた場合には驚くほどの味の変化を感じられるはずです。