ハンバーグには大きく2種類があります。
ハンバーグのレシピには、ひき肉を「よくこねなければいけない」「あまりこねてはいけない」の二通りがあるかと思います。前者は一般的なハンバーグ(またはミートローフやミートボール)のレシピ、後者はハンバーグステーキのレシピに多い指示です。
ここでは家庭料理で活躍することの多い前者のハンバーグを想定して話を進めていきます。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ハンバーグを柔らかく仕上げるには?
- ハンバーグの完成度を高めたい
- ハンバーグが焼き縮してしまって美味しくない
ハンバーグを柔らかく仕上げるにはコツがあります。
ハンバーグはタンパク質の熱変性により硬くなります。硬くなるのを防ぐためには「ひき肉に塩を加えてよくこねること」「副材料を多めに加えることでもろさを出すこと」「中心温度75℃まで加熱しつつも必要以上に温度を上げないこと」などがポイントになります。
これにより口当たりはしっかりしていながらも口の中で良くほぐれてジューシーな仕上がりになります。
ひき肉のこね方は?
ハンバーグのひき肉はよくこねます。
ひき肉をよくこねるのは粘りを出すためです。肉の約50%は筋原線維タンパク質ですが、筋原線維タンパク質の大部分はミオシン(筋原線維タンパク質の約55%)とアクチン(筋原線維タンパク質の約25%)によって構成されています。
そしてミオシンとアクチンには「結合することにより粘着力が高まる」という性質があります。
筋肉タンパク質の約50%は筋形質タンパク質(筋繊維)、約30%は筋形質タンパク質(色素タンパク質や酵素など)、約20%は肉基質タンパク質(結合組織)です。
こね方のポイントは3点です。
- 低温(脂肪の融点以下)でこねることで粘りがでやすい
- 食塩を加えてよくこねることで保水性が高まる
- こねすぎてしまうと焼き縮するようになる
ひき肉は食塩を加えて低温でこねます。
ひき肉は0.8%ほどの食塩を加えて脂肪の融点(牛肉40~50℃、豚肉33~46℃、鶏肉30~32℃)以下でこねることがポイントになります。こね加減は白っぽくなってボウルに張り付く程度です。こねすぎると硬くしまったような食感になり焼き縮しやすくなります。
ヘラを使うレシピもありますが、手早くこねれば素手でも問題はありません。
副材料を加える目的は?
ハンバーグは副材料によりもろさを出します。
ハンバーグとハンバーグステーキの違いはひき肉のこね加減と副材料(タマネギ、牛乳、パン粉、卵など)の割合です。ハンバーグはよくこねたひき肉に多めの副材料を加え、ハンバーグステーキは軽くこねたひき肉に少なめの副材料を加えます。
これにより以下のような違いが生じます。
- ハンバーグ:しっかりした口当たりとほどけるもろさ
- ハンバーグステーキ:やわらかい口当たりとしっかりした肉々しさ
副材料が少なすぎると口の中で崩れるもろさが足りなくなります。
そのため一般的なハンバーグにはひき肉に対して30~50%のタマネギや10%のパン粉などを加えてもろく崩れやすい食感を作り出しています。
ハンバーグの加熱条件は?
ハンバーグは中心温度75℃まで加熱します。
肉の加熱調理は温度が低いほど軟らかい仕上がりになりますが、(どんな肉を使ったとしても)生のひき肉には食中毒のリスクがあるために「厚生労働省の示している75℃1分間以上」「アメリカ食品医薬品局の示している165℉/約74℃」の条件で加熱します。
中心温度の確認には温度計の使用をおすすめします。
メンチカツやハンバーグなどの生のひき肉から作られる製品は、動物の種類に関わらず、ひき肉に付着している病原体が中心部まで入ってしまいます。多くの病原体は75 ℃で1分間以上の加熱で死滅することから、中心部までしっかり火を通すことが重要です。
引用元: お肉はよく焼いて食べよう(厚生労働省)
中心温度75℃までしっかりと加熱します。
肉(筋原線維タンパク質)は加熱により固くなりますが、ひき肉に食塩を加えてこねていることにより筋原線維の構造にゆるみが生じて保水性が高くなっています。この状態であれば75℃まで加熱をしてもミオシン分子の網目構造により硬くなりすぎることはありません。
ハンバーグはひき肉に塩を加えてしっかりこねた後に中心温度75℃まで加熱することがポイントになります。
肉は75℃1分以上で加熱するのがセオリーです。しかし「75℃1分と同等の加熱殺菌の条件」であれば問題はありませんので、低温調理器などを使って加熱温度を下げる方法もあります。加熱温度が低くなることにより軟らかくしっとりとした仕上がりになります。
まとめ・ハンバーグを柔らかくするには?
ハンバーグを柔らかく仕上げるにはコツがあります。
ハンバーグを柔らかく仕上げるためには「ひき肉には塩を加えてよくこねる」「副材料を加えてもろさを出す」「中心温度75℃まではしっかり加熱するが、必要以上に温度を上げすぎない」などがポイントになります。
基本的なことですが仕上がりは大きく変わります。