ぬか床には唐辛子を加えます。

多くのぬか床のレシピには唐辛子の記載があります。唐辛子を加えるのは唐辛子の有する「辛味」「抗菌性」「害虫への忌避効果」などを狙ってのことです。必ずしも必要な材料ではありませんが、おすすめできる副材料であるといえます。

特に、気温の高くなる夏場には効果を実感できる材料です。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • ぬか床に唐辛子を加えるメリットは?
  • どんな時に唐辛子を加えれば良いのか?
  • 乾燥唐辛子と生唐辛子とでの違いは?

唐辛子には抗菌性と防虫効果があります。

ぬか床に唐辛子を加えると「辛味や風味によるアクセントが加わる」「抗菌成分により腐りにくくなる」「害虫への忌避成分により虫が寄り付きにくくなる」などのメリットが得られます。そのため発酵が進みやすく害虫のリスクの高くなる季節には重宝されています。

分量に関しては辛味やぬか床の状態などを考慮して調節します。

ぬか漬けの味への影響は?

唐辛子の辛味は口中を刺激する辛味です。

ぬか床に唐辛子を加える目的のひとつには「辛味と風味の付与」がありますが、注意して欲しいのが辛味です。唐辛子の辛味はカプサイシン(アルキルアミド類の辛味成分)です。アルキルアミド類には分子が大きく重い(原子数40~50個)という特徴があるために鼻に抜ける辛味ではなく口中を刺激する辛味です。

唐辛子の辛味が持続するのは分子が大きいためです。

辛味感覚 発現性 持続性
トウガラシ ホット系 後タイプ
コショウ ホット系 中後タイプ ◎~○
サンショウ ホット系 後タイプ
ショウガ ホット系 中後タイプ
ニンニク シャープ系 前タイプ ×
カラシ シャープ系 前タイプ ×

また唐辛子の品種には注意が必要です。

唐辛子は品種により辛さや風味が異なります。たとえばタカノツメにはほどよい風味と強めの辛味(約40,000~50,000SHU)があり、島唐辛子には強めの風味と強い辛味(約50,000~100,000SHU)があります。(※SHU:スコヴィル値=唐辛子の辛さをはかる単位)

韓国料理でおなじみの韓国唐辛子には強い風味や甘味とほどよい辛味(約20,000~50,000SHU)があります。

唐辛子の有する害虫への忌避効果とは?

唐辛子には害虫への忌避効果があります。

唐辛子に含まれているテルペノイド系化合物には虫への忌避効果が確認されています。ぬか漬け関連の書籍などには「唐辛子の辛味成分(カプサイシン)の働きにより虫が寄り付かなくなる」と書かれていることもありますが、害虫に対して効果があるのはテルペノイド系化合物です。

カプサイシンによる忌避効果は基本的には動物に向けてのものとなります。

唐辛子の精油成分であるテルペノイド類に忌避効果がある(時間経過に伴い揮発し消失)カプサイシン類は効果がない

害虫への忌避効果を狙う場合には生唐辛子がおすすめです。

乾燥唐辛子にも害虫への忌避効果はありますが、テルペノイド系化合物は揮発性であるために乾燥唐辛子よりも生唐辛子の方が効果は大きくなります。また害虫への対策が必要になる季節と生唐辛子の出回る季節が一致していることからも可能であれば生唐辛子をおすすめします。

もちろん乾燥唐辛子に効果がないわけではありません。

ぬか床への唐辛子の加え方は?

唐辛子の分量や加え方に決まりはありません。

基本的には種を取った唐辛子を少なめに加えます。これは唐辛子の辛味(カプサイシン含有量)には遺伝子型のみならず生育条件によっても変化してしまう性質があるためです。そのためレシピをトレースするような加え方をすると想像以上に辛くなってしまうリスクがあります。

まずは少なめに加えて様子をみてみることをおすすめします。

ちなみに唐辛子の辛味成分は胎座(種子を取り巻くスポンジ状の淡色組織)表面の細胞のみで合成されていて、胎座と隔壁(果実の仕切り部分)に貯蔵されています。乾燥唐辛子の種が辛いのは乾燥により胎座や隔壁の細胞が破壊されるためです。

事実、生唐辛子の果肉はさほど辛くはありません。

まとめ・ぬか床に唐辛子を加える目的は?

ぬか床には唐辛子を加えます。

唐辛子を加えることには「辛味によるアクセント」「害虫への忌避効果」「抗菌性による腐敗防止効果」などのメリットがあります。しかし唐辛子の風味や辛味の強さは品種や生育条件などにより変化してしまう性質がありますので、加えすぎには注意が必要です。

まずは少なめに加えて様子をみてみることをおすすめします。