ぬか漬けには家庭ごとの味があります。
ぬか漬けはぬか床の手入れや食材などにより微生物の構成が変化します。そのため家庭や手入れをする人により異なる味わいのぬか漬けになります。このことからもアクセントとして山椒の実や柑橘類の皮などが加えられることは珍しくありません。
ニンニクやショウガなどもアクセントとして加えられることのある食材です。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ぬか漬けが美味しくなる隠し味を探している。
- ぬか床にニンニクを加えるべきかどうか悩んでいる。
- ニンニクを加えるメリットとデメリットは?
ぬか床にニンニクを加えるのはおすすめしません。
ニンニク風味のぬか漬けも悪くはありません。しかしニンニクは風味の強すぎる食材であるために古典的な和食の世界では禁忌とされています。このことからもぬか床を長く管理していきたい(または和食を作ることが多い)場合にはニンニクを加えない方が無難です。
どうしてもニンニク風味のぬか漬けを楽しみたい場合には分けて漬けるようにします。
ニンニクは和食との相性が悪い?
ニンニクは風味の強い食材です。
古典的な和食の世界ではニンニクのような風味の強すぎる食材は禁忌とされています。日本料理は食材の特徴を活かすような調理法であることが多いため、強すぎるニンニクの風味が日本料理の繊細な味付けを台無しにしてしまうリスクがあるためです。
そのため和の漬物であるぬか漬けにニンニクを加えるのは好ましくありません。
- ニンニクは風味が強すぎる
- 一度加えてしまうとやり直しがきかない
- 古典的な和食の世界では禁忌とされる食材
もちろん和食であっても例外はあります。
カツオ料理などのように郷土色の強い料理にはニンニクが使われていますし、近代的な和食の世界では隠し味としてニンニクが利用されていることもあります。また家庭料理としての和食には当然のようにニンニクが利用されているはずです。
ぬか床は長く入れを続けていくからこそ強すぎる風味を付けることはおすすめしません。
ニンニクによりぬか床が不安定になることがある?
ニンニクには強い殺菌作用があります。
ニンニクに含まれている成分(アリシンなど)はぬか床内の微生物(乳酸菌や酵母など)にダメージを与えます。少量であれば大きなリスクありませんが、加えすぎてしまうとぬか床を腐敗菌から守っている乳酸菌を著しく減らしてしまうリスクがあります。
一時的なニンニクの殺菌作用により、長期的な乳酸による抗菌作用をダメにしてしまうということです。
ショウガや黄ガラシにも殺菌作用があります。
ショウガにはショウガオール、黄ガラシにはアリルイソチオシアネートと呼ばれる抗菌作用を有する成分が含まれています。しかしニンニクに含まれているアリシンの殺菌作用はショウガオールやアリルイソチオシアネートの比ではありません。
そのためニンニクを加える場合には分量にも注意する必要があります。
ニンニクの代わりとしておすすめの食材は?
ぬか床には和食との相性の良い食材がおすすめです。
たとえばタカノツメ、サンショウ、ユズの皮、ショウガ、黄ガラシなどは和食の繊細な味付けを邪魔しにくい食材であるといえます。ニンニクのようにパンチのある風味ではありませんが、様々な和食との相性の良いぬか床に仕上がります。
また柿の皮や青梅などが加えられることもあります。
- タカノツメ:辛味により味が引き締まる
- サンショウ:風味の良さとピリッとした辛味
- 柑橘類の皮:華やかな風味が付与される
- ショウガ:さわやかな風味が付与される
これらの食材には風味以外の目的もあります。
たとえばタカノツメには防虫効果(テルペノイド系化合物)があるために夏場の虫除けになりますし、柑橘類の皮やショウガなどには殺菌・抗菌作用(リモネンやショウガオールなど)があるために微生物の活性(発酵スピード)をコントロールするのに役立ちます。
食材の特徴を知ることはぬか床の手入れにも役立ちます。
まとめ・ぬか床にはニンニクを加えない?
ぬか床にニンニクを加えるのはおすすめしません。
ニンニク風味のぬか漬けも悪くはありませんが、古典的な和食との相性が悪いためにぬか床全体をニンニク風味にしてしまうのは良くありません。どうしてもニンニク風味のぬか漬けを楽しみたい場合にはメインのぬか床とは分けて作ることをおすすめします。
また加えるニンニクが多すぎるとぬか床内の微生物にダメージを与えてしまうリスクもあります。