土鍋は目止めをしてから使い始めます。
陶器の土鍋には細かな気孔があります。これは磁器と比べて焼成温度が低く多孔質(小さな穴がたくさん開いている構造)であるためです。この構造により温度変化が少ない(冷めにくい)というメリットを得られていますが、そのままでは「水漏れ」や「におい残り」などの原因になってしまうことがあります。
そこで目止め(小さな穴をデンプンで埋めること)をします。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 新しい土鍋を使い始めたい。
- 土鍋に目止めが欠かせない理由は?
- 基本的な目止めの方法は?
目止めには大きく2パターンがあります。
これは土鍋の材質(膨張率)の違いによるものであり、萬古焼などのように膨張率の低い土鍋には米のとぎ汁などを用いる簡易的な方法が好まれ、伊賀焼などのように膨張率の高い土鍋にはお粥(重湯)を炊くなどの方法が好まれています。
また萬古焼などであってもヒビ割れ対策などの場合にはお粥を炊きます。
スポンサーリンク
土鍋に目止めをする目的は?
目止めは土鍋を安定させます。
陶器(土もの)である土鍋には「熱しにくく冷めにくい」という特徴があります。これは厚手で多孔質なことが関係しており、この特徴により「緩やかな温度上昇」や「高い蓄熱性」などのメリットが得られています。
しかし多孔質な構造には「におい残り」や「ひび割れ」などのデメリットがあるために、定期的な目止めが必要になります。
失敗しない目止めの方法は?
難しいことはありません。
デンプン粒で土鍋の目を塞ぐことが目的になりますので、簡易的なやり方の場合は米のとぎ汁を煮立て、丁寧なやり方の場合はお粥(重湯)を炊きます。十分な量を準備して米のとぎ汁(またはお粥の上澄み液)で土鍋が満たされた状態を目指します。
以下は具体的な手順となります。
目止めには米デンプンが適していると考えています。
土鍋の目止めには食材に含まれるデンプンが利用されていますが、ひと言にデンプンと言ってもデンプン粒の大きさには食材による違いがあります。たとえば米のデンプンは平均粒径が4μmですが、片栗粉(ジャガイモでんぷん)の平均粒径は50μmです。
平均粒径(μm) | |
---|---|
米 | 4 |
小麦 | 20 |
トウモロコシ(コーンスターチ) | 16 |
ジャガイモ(片栗粉) | 50 |
定期的に目止めをする理由は?
陶器である土鍋には定期的な目止めが必要です。
土鍋は使用のたびに膨張と収縮を繰り返しています。そのため鍋の内側や鍋底の裏などにひびが入ることは珍しくありません。また土鍋の素地と釉薬には収縮率の違いがあるために貫入と呼ばれるひびが入ってしまうことも避けられません。
このことからも定期的な目止めにより土鍋を安定させる必要があります。
しかしこの段階での目止めは(水漏れなどの異常がなければ)使い始めの目止めほど丁寧に行う必要はなく、大根などのアク抜きを兼ねて米のとぎ汁を煮立たせる程度でも問題はありません。もちろん日常的にご飯やお粥を炊いている土鍋であれば個別に目止めをする必要もありません。
水漏れや気になるひび割れがある場合には丁寧な目止めを行います。
まとめ・土鍋の使い始めは?
土鍋は目止めをしてから使い始めます。
陶器(土もの)である土鍋には細かな孔が開いています。それにより「緩やかな温度上昇」や「高い蓄熱性」などのメリットが得られていますが、そのままでは「水漏れ」や「におい残り」などの原因になってしまうことがあります。また膨張と収縮を繰り返すことにより小さなひび割れも生じてしまいます。
これらの問題を対処するためにも目止め(デンプンで小さな穴をふさぐこと)が必要になります。