強すぎる酸味は燻製における典型的な失敗です。

燻製(スモーク)に慣れていないと酸っぱくしてしまうことがあります。特に密閉式の小型スモーカーを利用している場合にはこの傾向が顕著であり、自宅で作る燻製は「酸っぱくて美味しくない」と感じられても不思議ではありません。

しかし正しく作られた燻製は驚くほどに美味しいものです。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 燻製が酸っぱくなってしまう理由は?
  • 燻製の酸味を和らげる方法は?
  • 燻製作りに失敗しないためのポイントは?

燻製の酸味は有機酸によるものです。

燻製の煙(燻煙)には様々な成分が含まれています。その中には有機酸(酸性を示す有機化合物)も含まれており、ギ酸や酢酸などの分子量の小さい有機酸は水に溶けやすいために燻製を酸っぱくしてしまうことがあります。

そのため燻製の酸味を防ぐためには「乾燥や熟成の工程をていねいに行うこと」「燻製器によっては燻煙の途中で水分を拭き取ること」などがポイントになります。

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燻煙に含まれている成分とは?

燻煙には様々な成分が含まれています。

燻製は食材の下ごしらえ(塩漬けや乾燥など)をしてから煙で燻していきます。これにより「保存性が高まることに加えて風味が良くなる」という効果が得られています。当然、燻煙に含まれている成分のバランスによっては燻製の風味も変化します。

以下が燻煙に含まれている主な成分になります。

  • カルボニル化合物:におい、殺菌作用、着色
  • フェノール類:におい、殺菌作用、抗酸化作用
  • 有機酸類:におい、殺菌作用
  • アルコール類:少ない
  • 炭化水素類:少ない

燻煙の成分は条件により変化します。

燻煙の成分は燻煙材の種類や形状、燃焼温度、燻煙時間、隠し香の有無などにより変化します。このことからもスパイシーな風味を好む場合にはやや高温気味に燃焼させる傾向がありますし、マイルドな風味を好む場合にはやや低温気味に燃焼させる傾向があります。

また燻煙成分の食材への付着量は食材表面の水分量に影響を受けます。

燻製に生じる酸味の正体は?

燻製の酸味は有機酸によるものです。

有機酸とは酸性を示す有機化合物の総称です。燻製の表面に水分が多いとギ酸や酢酸などの分子量の小さな有機酸が溶け込んでしまうために酸っぱくなります。そのため水蒸気のたまりやすい小型のスモーカーには注意が必要です。

密閉性の高いスモーカーは水蒸気も滞留してしまいます。

家庭用のスモーカーには煙の逃げにくい密閉性の高いスモーカーが人気ですが、煙が逃げにくいということは水蒸気も逃げにくいということになりますので燻製が酸っぱくなります。また燻煙材の火が消えやすいというデメリットも生じます。

このことからも環境が許すのであれば密閉性の高すぎないスモーカーがおすすめです。

酸っぱくなるのを防ぐには?

大切なのは食材の水分管理です。

一般的な燻製(温燻法)は「食材の下ごしらえ→塩漬け、塩抜き→乾燥→燻煙(スモーク)→熟成」という工程を経て作られています。乾燥と燻煙の工程のおける水分量が多いと酸味の強い燻製になってしまうリスクが高まります。

また熟成の工程が不十分であっても角のある酸味が気になる可能性があります。

STEP.1
食材の下ごしらえ
食材に応じた掃除などをします。
STEP.2
塩漬け、塩抜き
塩漬けと塩抜きをすることで、味付けと腐敗防止、塩分の均一化を図ります。
STEP.3
乾燥
食材の表面を乾かして燻煙のノリを良くします。
STEP.4
燻煙(スモーク)
食材に応じた燻煙をします。表面に水分が出てしまう場合には拭き取るようにします。
STEP.5
熟成
風にさらすなどして香りを落ち着かせます。

ポイントになるのが乾燥と燻煙です。

食材にもよりますが、乾燥の工程においては「食材の表面を手で触れてもべとつかなくなるまで乾かす」こと、燻煙(スモーク)の工程においては「水分が出てしまった場合には適宜拭き取りながら燻煙する」ことが大切です。

基本的には「酸味を防ぐこと=水分を取り除くこと」と考えてOKです。

まとめ・燻製が酸っぱくなる仕組みは?

燻製の酸味は有機酸によるものです。

燻煙にはギ酸や酢酸などのような有機酸が含まれています。これらの有機酸は分子量が小さいために水に溶けやすく、食材表面の水分に溶け込んで燻製を酸っぱくしてしまいます。酸味を防ぐためには燻製表面の水分を減らすことがポイントになります。

また酸っぱくなってしまった場合であっても熟成の工程で長めに風に当てることで酸味を和らげることも可能です。