揚げ物には温度管理の難しさがあります。

温度が低すぎれば美味しそうな揚げ色がつきませんし、温度が高すぎれば中心部に熱が入る前に黒焦げになってしまいます。そのため多くのレシピでは「低温何分」「中温何分」「低温何分→高温何分」などのように指示されています。

油の温度は料理の仕上がりに大きく影響します。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 揚げ物に適した油の温度は?
  • 油の温度の確認方法は?
  • 温度を安定させるためのポイントは?

料理では油の温度を使い分けます。

たとえば一般的な鶏肉のから揚げは中温で何分などのような熱の入れ方をしますが、骨付き肉(手羽元など)のように熱の入りにくい食材は低温で中心部まで熱を入れてから中温以上で揚げ色を付けるような調理をされることが多くなります。

これは揚げ色のつくスピード(メイラード反応の進むスピード)が160℃以上で指数関数的に加速するためであり、中温では中心部に熱が入る前に揚げ色が濃くなりすぎてしまうためです。

スポンサーリンク

低温、中温、高温の違いは?

油の温度は大きく3種類+1に分類できます。

具体的には熱の入りにくい食材に用いられる低温(150~160℃程度)、一般的な食材に用いられる中温(170~180℃程度)、あらかじめ熱の入っている食材に用いられる高温(190~200℃程度)、油通しなどに用いられる120~150℃程度の3種類+1です。

基本は低温、中温、高温の3種類になります。

  • 低温(150~160℃程度):骨つき肉など
  • 中温(170~180℃程度):カツレツなど
  • 高温(190~200℃程度):2度揚げの2度目など

揚げ色の付きやすさは160℃以上で指数関数的に加速します。

そのため中心部まで熱の入りにくい骨付き肉やメンチカツなどは低温でじっくりと熱を入れていき、ポテトコロッケなどのように予め熱の入っている料理は高温でさっと揚げ色を付けることがセオリーとされています。

しかし揚げ油は温度が高くなるほどに劣化しやすくなりますので、意図的に低温から中温の温度帯を利用する使い方もあります。

油の温度の確認方法は?

木の菜箸を利用する方法がおすすめです。

油の温度の確認方法には「木の菜箸から出る泡で確認する方法」「バッター液(連なって流れる程度の小麦粉生地)を落として確認する方法」「温度計を利用する方法」などがあります。確実なのは温度計ですが、慣れれば木の菜箸やバッター液でも問題なく確認できます。

以下は木の菜箸(バッター液)での確認方法です。

  • 低温:菜箸の先端から細かな泡が出る(底まで沈んでからすぐに浮き上がる)
  • 中温:菜箸の全体から細かな泡が出る(中ほどまで沈んですぐに浮き上がる)
  • 高温:菜箸の全体から勢いよく泡が出る(沈まずに散るように広がる)

また非接触型の温度計も便利です。

揚げ物用の温度計にはアナログのものが広く普及していますが、アナログのものは測定誤差こそ少ないものの「水洗いができない」「応答性(レスポンス)が遅い」などのデメリットがあるためにお世辞にも使いやすいとは言えません。

その点非接触型の温度計であれば(液面の反射などにより)外れ値は生じやすいものの、応答性が早く汚れないというメリットがあります。

油の温度を安定させるコツは?

油の温度を安定させるためのポイントは大きく3つです。

最も確実なのは「油の量を増やすこと」です。油の量が増えれば油全体の熱容量が増えるために食材を入れても温度が下がりにくくなります。次に重要なのが「重い揚げ物鍋を使うこと」です。熱容量の大きな揚げ物鍋を使うと油を増やしたのと同じ効果が得られます。

最後に、当然ではありますが食材の下ごしらえをていねいに行う(余分な水分が付着していない状態にする)ことです。

  • 油の量を増やす:熱量を大きくして温度を安定させる
  • 重い揚げ物鍋を使う:揚げ物鍋の熱量を利用する
  • 余分な水分を拭き取る:気化熱による温度の低下を防ぐ

揚げ物鍋の材質には銅や鉄が好まれます。

これは銅や鉄が(アルミニウムなどと比べて)熱容量が大きいためであり、より多くの熱を蓄えることができるからこそ温度変化が小さくなります。特に少ない油で揚げ物をする機会が多いのであれば使えるテクニックです。

鉄フライパンなどでの揚げ物も意外と悪くありません。

まとめ・揚げ物に利用する油の温度は?

揚げ油の温度帯は大きく3種類です。

それが骨付き肉などのように熱の入りにくい食材に用いられる低温(150~160℃程度)、一般的な食材に用いられる中温(170~180℃程度)、ポテトコロッケなどのように予め熱の入っている食材に用いられる高温(190~200℃程度)になります。

油通しなどには120~150℃程度の温度帯が用いられることもあります。