生パスタはセモリナ粉にこだわらない?

生パスタを作るのは難しくありません。

もちろん完成度を高めるためにはある程度の技術力を必要としますが、そもそも生パスタは家庭料理として広く親しまれているものですので構えすぎる必要はありません。いくつかのポイントさえ押さえられていれば大きな失敗はしないはずです。

しかし広く知られているデュラムセモリナ粉については注意が必要です。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 生パスタの生地がこねにくい理由は?
  • 家庭の生パスタにデュラムセモリナ粉をおすすめしない理由は?
  • デュラムセモリナ粉を使わずにコシのあるパスタにするには?

手打ちパスタには強力粉がおすすめです。

一般的なパスタにはデュラムセモリナ粉と呼ばれる粒子の粗い小麦粉が用いられていますが、デュラムセモリナ粉を用いると捏ねるのが難しくなります。デュラムセモリナ粉を用いて中途半端にしか捏ねられないのであれば、強力粉を用いてしっかりと捏ねた方が仕上がりは良くなります。

このことからも(少なくとも慣れるまでは)デュラムセモリナ粉は避けるべきです。

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生パスタに用いられる小麦粉の種類は?

パスタにはデュラムセモリナ粉が好まれます。

デュラムセモリナ粉は硬質のデュラム小麦から作られる小麦粉であり、大きくは強力粉に分類されています。一般的な強力粉との違いは粒子が大きくカロテノイド色素を含んでいることです。これによりパスタが黄色味を帯びることになります。

以下は小麦粉の分類です。

タンパク質(%) 湿麩(%)
水を含んだグルテンのかたまり
強力粉
(デュラムセモリナ粉)
11~13
(13以上)
35
中力粉 10 25~35
薄力粉 8以下 25以下

ポイントとなるのがグルテンの形成量です。

グルテンとは小麦粉の含まれている2種類のタンパク質がSH-SS交換反応によって粘りと弾力性のある網目状の物質に変化したものですので、小麦粉に含まれているタンパク質量が多いほどにグルテンが形成されやすくコシの強いパスタになりやすい傾向があります。

しかしグルテンの形成量が多くなるほどに捏ねにくい生地(捏ねるのに力を要する生地)になりますので、手打ちで作る場合には強力粉や強力粉に薄力粉を混ぜて使われることが多くなります。

パスタにコシを出すためには?

パスタのコシはグルテンによるものです。

グルテンの形成量を増やすためには「タンパク質含有量の大きい小麦粉を用いる」「塩を加える」「よく捏ねる」などの手段が有効です。タンパク質含有量とよく捏ねることは言わずもがなですが、塩にはタンパク質を凝集しやすくする作用があるためにグルテンの形成量が増えやすくなります。

調理の工程には意味があります。

  • 強力粉を用いる:タンパク質の含有量が多い
  • よく捏ねる:物理的な力によりグリアジンとグルテニンをつなげる
  • 塩を添加する:塩にはタンパク質の凝集作用がある

捏ねた生地は休ませてから伸ばします。

小麦粉生地をよく捏ねるのはグルテンを形成させる(SH-SS交換反応によりグルテンを形成させて粘りと弾力性のある網目状の物質に変化させる)ためですが、グルテンの形成された小麦粉生地は伸ばそうとしても伸びにくくなります。

そこで生地を休ませます。

よく捏ねた小麦粉生地を休ませると、生地の緊張が取れて伸ばしやすくなります。これは力のかかっていた部分でグルテンの形成が進むことにより生地を緊張させていた応力が取り除かれるためです。

また時間を置くことで小麦粉と水のなじみも良くなります。

セモリナ粉をおすすめしない理由は?

デュラムセモリナ粉には注意が必要です。

デュラムセモリナ粉を用いると風味や食感の良いパスタになりますが、とても捏ねにくい生地になるために「捏ね上がりに時間や力を要する」「捏ね足りない生地になりがちになる」「パスタマシンでないと伸ばせない生地になる」などの問題が生じやすくなります。

そのため生パスタは強力粉で作られることが多くなります。

もちろんデュラムセモリナ粉を用いる生地には大きなメリットがあるわけですが、デュラムセモリナ粉を用いてこね足りない生地になってしまうくらいであれば強力粉を用いてよく捏ねた生地の方が料理の仕上がりは良くなります。

生パスタの生地には(捏ねやすくするために)薄力粉を混ぜることも珍しくありません。

まとめ・生パスタにセモリナ粉は適さない?

生パスタにデュラムセモリナ粉はおすすめしません。

もちろんデュラムセモリナ粉には多くのメリットがあります。しかしとても捏ねにくい生地になるために「捏ね上がりに時間と体力を要する」「捏ね足りない生地になりやすい」「パスタマシンでなければ伸ばせない生地になる」などのデメリットが生じやすくなります。

デュラムセモリナ粉を用いて雑な仕事になってしまうくらいであれば、強力粉を用いて丁寧な仕事をした方が生パスタとしての仕上がりは良くなります。