
おひつは黒ずむことがあります。
使い込まれたおひつ(飯びつ)は内側の角や蓋との合わせ目、銅でできたタガの周りなどに変色が見られることは珍しくありません。多少の変色は仕方のない部分がありますが、度を越すと汚らしくなります。おひつの変色を防ぐためには変色原因を知ることがポイントになります。
原因が違えば対処方法も異なります。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- おひつが黒ずむ原因は?
- おひつの黒ずみを防ぐ方法は?
- おひつの黒ずみへの対処方法は?
おひつの黒ずみ原因は大きく3点です。
変色(黒ずみ)原因の多くは「木材に含まれているタンニンが鉄と反応することによるもの」「カビによるもの」「タガに使われている銅によるもの」です。特に多いのがタンニンと鉄の反応であり、水の鉄含有濃度が大きい地域ほどに黒ずみやすくなります。
黒ずみの多くは漂白作用のある酢酸(お酢など)やクエン酸(レモン果汁など)で拭き取ることにより薄くなりますが、ヤスリがけなどにより削り取ることもあります。
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タンニンによる黒ずみ
タンニンは鉄と結びつくことで変色します。
木材に含まれているタンニン(ポリフェノールの一種)には鉄と反応して黒く変色するという性質があります。そのため水道水に鉄分の多く含まれている地域や水道管の古い家庭では水分の残りやすい角が黒く変色しやすくなります。
三価の鉄によりガロタンニンは暗青色、カテキンタンニンは青色を呈するので、この汚染は鉄と木材中のタンニンの反応によるタンニン鉄化合物形成に基づくものとされている。
引用元: 木材の化学汚染について(J-STAGE)
またアルカリ性にも注意が必要です。
タンニンにはアルカリ性と反応して黒く変色するという性質もありますので、重曹やセスキ炭酸ソーダを用いた浸け置き洗いなどは黒ずみの原因になります。
カビによる黒ずみ
おひつには黒いカビが生じることがあります。
カビは湿度の高い環境で発生しやすいため、おひつでは蓋との合わせ目部分で発生しやすくなります。おひつに発生しやすいのはクロコウジカビであることが多いとされており、これはクロコウジカビがデンプンの糖化力に優れた菌であるためです。
カビを防ぐにはアルコール除菌が有効です。
使用後のおひつは水洗いしてから拭き上げます。通常はそのまま風通しの良い日陰で乾かしますが、拭き上げてからキッチン用アルコールスプレーを吹き付けておくことでカビの発生リスクを減らすことにつながります。
またご飯の保存時間を短くすることも有効です。
酸化銅による黒ずみ
銅は酸化により変色します。
おひつの多くには(抗菌や防臭効果のために)銅のタガが使われていますが、銅は空気中の酸素と反応(酸化)して黒く変色しやすい金属です。黒ずんだ銅(酸化銅)は酸で溶かされやすいために周りの木材にしみ込んでしまうことがあります。
木材への汚れは乾燥しているほどにしみ込みやすくなります。
そのためおひつのタガ(銅のタガ)を酢水などで掃除する際には濡らしてから拭き取るようにします。あらかじめ木材を濡らしておくことにより酸化銅が溶かされてもタガの周りにしみ込みにくくなります。
また漂白や殺菌目的で酢水を使って拭き上げる場合にもタガの周りには注意を払う必要があります。
まとめ・おひつが変色してしまう理由は?
おひつは変色してしまうことがあります。
主な原因として考えられるのは「木材に含まれているタンニンが鉄やアルカリと反応することにより変色」「カビ(クロコウジカビなど)の発生」「銅のタガに生じた酸化銅が溶かされて木材にしみ込むことによる変色」などです。
変色してしまった場合には酢酸などによる漂白やヤスリがけなどにより対処します。