圧力鍋は調理時間の短縮につながります。
圧力鍋は鍋内圧を高くすることにより水の沸点を上昇させています。これにより調理時間は通常調理の20~30%ほどに短縮されます。温度の上昇によるデメリットはあるものの上手に利用できればとても便利な調理道具です。
ここでは各圧力鍋における内部温度の調べ方をシェアしていきます。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- 圧力鍋の内部温度はどのくらい?
- 今使っている圧力鍋の圧力と温度の調べ方は?
- 低圧と高圧ではどのくらいの違いがあるのか?
圧力鍋は加圧により水の沸点を上げています。
私が使用しているティファールの圧力鍋(ティファール アクティクックシンプリー)を例にしてみると、85kPaの低圧モードでは約118℃、120kPaの高圧モードでは約123℃になります。これにより大気圧下での調理時間の20~30%ほどで同程度まで加熱できることになります。
圧力鍋の内圧には各圧力鍋により多少の差異があります。
圧力鍋の圧力値の調べ方は?
圧力鍋は蒸気を閉じ込めることで圧力を上げます。
一般的には1.5~2.0kg/cm2の加圧下で115~120℃まで上昇させるような仕組みになっていますが、正確な内部温度を知るためには個々の圧力鍋に記載されている圧力値を調べて計算する必要があります。
圧力鍋のどこかに「○○kPa」などの表示があるはずです。
- 低圧(85kPa):85+101.325kPa=186.325kPa
- 高圧(120kPa):120+101.325kPa=221.325kPa
上記は「ティファール アクティクックシンプリー」に記載されている数値です。
圧力鍋のメーカーによっては圧力上昇値ではなく実際の圧力値が記載れていることもありますが、ティファールの場合は圧力上昇値になっていました。そのため標準気圧(101.325kPa)を足すことにより実際の圧力値を知ることができます。
これにより低圧約186kPa、高圧約221kPaという圧力値が求められます。
圧力による内部温度の調べ方は?
圧力値から内部温度が導き出せます。
圧力基準蒸気表などから確認する方法もありますが、詳細を知るためには計算ツールの利用がおすすめです。今回は株式会社テイエルブイ様が公開している蒸気表を利用しました。実際に利用する場合には単位が「MPa」になっていますので注意してください。
以下が「圧力基準の飽和蒸気表の計算」の結果になります。
- 低圧(186.325kPa):117.9868℃
- 高圧(221.325kPa):123.4447℃
引用元: 「蒸気表」(株式会社テイエルブイ)
これにより低圧と高圧の違いは約5℃であることが分かります。
圧力差(温度差)によって「どのくらいの時間を短縮できるのか?」については10℃2倍則に当てはめて計算していきます。詳しい計算方法は割愛しますが、今回調べた圧力鍋の場合には低圧で約70%、高圧で約80%の時間短縮につながります。
また温度が高いからこそのメリットも存在します。
温度が高くなることによる調理への影響は?
圧力鍋には食材による向き不向きがあります。
圧力鍋は加熱温度が15~20℃ほど高くなります。これにより単純な計算では「加熱時間を20~30%に短縮できる」ことになりますが、調理では食材ごとに最適な加熱温度がありますので、高い温度がメリットになることがあればデメリットになることもあります。
必ずしも良い結果になるとは限りません。
- 炊飯:過度なデンプンの糊化が起こるために粘りが強くなる
- 大豆:加熱時間が短いために味の濃いねっとりした感触になる
- 鰯:骨までやわらかくなる
たとえばデンプンの糊化(α化)。
デンプンの糊化には温度と水分が大きな影響力を持ちます。圧力鍋で炊かれたご飯は高温により細胞の一部が破壊されてデンプン粒の流出が起こるために粘りが強くなりますが、もともと粘りの強い品種(低アミロース米など)では粘りが強すぎて好まれない食味になることもあります。
普通の鍋と圧力鍋は、正しく使い分けることがポイントです。
豚の角煮なども必ずしも美味しくなるとは限りません。食肉の筋肉タンパク質は「筋原線維タンパク質」「筋形質タンパク質」「肉基質タンパク質」の3種類ですが、圧力鍋を使うと肉基質タンパク質のゼラチン化は進むものの、筋原線維タンパク質がパサパサになってジューシーさが失われます。
まとめ・圧力鍋による加圧時の内部温度は?
圧力鍋は加圧により温度を上げています。
今回調べた「ティファール アクティクックシンプリー」であれば、85kPaの低圧モードでは約118℃、120kPaの高圧モードでは約123℃になります。これにより大気圧下での調理時間の20~30%ほどで同程度まで加熱できることになります。
圧力鍋が時短や節約につながるのはこのためです。