卵の凝固温度を知ると料理が上達します。

卵は加熱調理の練習に最適です。たとえば茶碗蒸しやカスタードプリンは加熱温度が異なれば同じレシピであっても全くの別物になりますし、シンプルだと思われがちなゆで卵であっても100℃での加熱と90℃での加熱とでは口あたりが大きく異なります。

また温泉卵(温度卵)なども自由に作れるようになります。

カヤカヤ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 卵は何℃くらいで固まるのか?
  • 卵白と卵黄とでの凝固温度の違いは?
  • 卵の食感は温度によりどのように変わるのか?

卵の凝固温度は卵白と卵黄とで異なります。

卵白には「約60℃から固まり始めて約80℃で完全に固まる」という特徴があり、卵黄には「約65℃から固まり始めて約75℃で完全に固まる」という特徴があります。この凝固温度の違いを利用しているのが温泉卵です。

卵の凝固温度を知ることは様々な料理の上達にもつながります。

卵の凝固温度は?

卵の凝固温度は約60~80℃です。

卵白は約60℃から凝固(タンパク質の熱変性)が始まり約80℃で凝固します。卵黄は約65℃から凝固が始まり約75℃で凝固します。凝固温度に60~80℃や65~75℃のように開きがあるのはタンパク質の組成が異なるためです。

熱変性温度はタンパク質の種類によっても異なります。

熱変性温度
卵白 約60~80℃
卵黄 約65~75℃

温泉卵(温度卵)は68℃30分の条件で加熱されます。

これは卵白の一部(オボトランスフェリン)を熱変性させつつも完全には固めず、卵黄を熱変性により粘度を高めてねっとりさせるためで。30分というのは卵の中心温度が湯の温度と同じになるために必要な時間になります。

温泉卵には卵白と卵黄の熱凝固温度の違いが利用されています。

卵白の凝固温度は?

卵白は約60℃から固まり始めます。

卵白が約60℃から固まり始めるのはオボトランスフェリンの熱変性温度が61.0℃であるためです。卵白の約70%はオボアルブミン(卵白の約54%を構成するタンパク質)とオボトランスフェリン(卵白の約13%を構成するタンパク質)によるものです。

オボアルブミンとオボトランスフェリンの熱変性温度には開きがあります。

熱変性温度
オボアルブミン 84℃
オボトランスフェリン 61.0℃

その他のタンパク質はオボムコロイドやオボグロブリンなどです。

これら卵白を構成するタンパク質の熱変性温度の違いがあるからこそ、加熱温度により「55℃以上で粘度を増していく」「60℃以上で白いゼリー状に変化していく」「80℃以上で完全に固まる」などの変化が生じることになります。

またタンパク質は加熱温度が高すぎるほどに硬くなりますので、ゆで卵であっても100℃で茹でたものと90℃で茹でたものには大きな違いが生じます。

卵黄の凝固温度は?

卵黄は約65℃から固まり始めます。

卵黄のタンパク質には「約65℃から柔らかい糊状に固まり始める」「約75℃でしっかりと硬くなる」という特徴があります。そのため68℃で加熱されることの多い温泉卵の卵黄は「ねっとりしていて崩れない状態」になります。

タンパク質の熱変性には温度が重要であるため、加熱時間が多少延びても大きな違いは生じません。

卵黄の状態
65~70℃ 柔らかい糊状になる
75℃以上 しっかり硬くなる

卵黄は温度により粘性が変化します。

このことからも卵黄(黄身)が流れ出るようなゆで卵は中心温度が65℃以下までしか加熱されていないということであり、卵黄が完全に固まっているゆで卵は中心温度が75℃以上に加熱されているということになります。

シンプルなゆで卵であっても「温度を上げるのか?」「茹で時間を延ばすのか?」などの重要なヒントになります。

まとめ・卵の凝固温度は?

卵の凝固温度は約60~80℃です。

卵白には約60℃から固まり始めて約80℃で完全に固化するという特徴があり、卵黄には約65℃から固まり始めて約75℃で完全に固化するという特徴があります。この違いがあるからこそ68℃30分ほどの条件で加熱されることの多い温泉卵は独特の仕上がりになります。

卵料理が温度の影響を受けやすいのは(卵白と卵黄などにように)タンパク質の熱変性温度が分かりやすく異なるためです。