ゆで卵の殻むきはイライラします。
卵を茹でると卵白に含まれている二酸化炭素(CO2)が膨張して卵白が卵殻膜(薄皮)に強く押し付けられることにより殻(卵殻)が剥きにくくなります。そのため二酸化炭素の多い新鮮な卵ほどこの傾向は強くなります。
意外にも古い卵はツルッと剥けます。
今回の記事は次のような人におすすめ!
- ゆで卵の殻が剥きにくい仕組みを知りたい。
- ゆで卵の殻をきれいに剥くためにはどうすればいいのか?
- 圧力鍋で茹でた卵が剥きやすくなる理由は?
ゆで卵は氷水にとると剥きやすくなります。
卵の殻を剥きやすくする方法には「鮮度の良すぎる卵は使わない」「ゆで上がったら氷水で冷やす」「卵の鈍端に穴を開ける」「圧力鍋で茹でる」などがあります。いずれの方法にも効果はありますが、まずは氷水にとることが重要です。
たったこれだけのことでもゆで卵の殻は剥きやすくなります。
新鮮な卵のゆで卵が剥きにくい理由は?
鮮度の高い卵を茹でると殻を剥きにくくなります。
ゆで卵の殻が剥きにくくなるのは卵白に含まれている二酸化炭素(CO2)が膨張して卵殻膜に押し付けられるためです。また水分の蒸発も少なく気室が広がっていないために卵の中の圧力はより一層高くなります。
殻を剥きやすくなる目安は産卵後10日前後です。
産卵後10日前後経過すると卵白に含まれている二酸化炭素や水分がほどよく抜けて「二酸化炭素の膨張による圧力の上昇が抑えられる」「気室が大きくなることで圧力の上昇が抑えられる」などの効果が得られます。
事実、うまく殻の剥けた卵の鈍端は凹んでいることが多いはずです。
しかしあまりにも鮮度を落とし過ぎてしまうと卵白に含まれている含硫アミノ酸が還元されることで硫化水素(H2S)が発生しやすくなります。硫化水素は卵黄の変色や硫黄臭さの原因になりますので注意が必要です。
基本的には購入後一週間前後がベストなタイミングです。
氷水で冷やすことで剥きやすくなる仕組みは?
氷水にとると殻を剥きやすくなります。
ゆで卵の殻が剥きにくくなるのは圧力により卵白が卵殻膜に押し付けられるためですが、加熱後にゆっくり冷やしていたのでは卵白と卵殻膜が強く結びついたまま固着してしまいます。その点、急冷すれば温度差により卵殻膜が膨潤して卵白との結合が弱まります。
このことからも氷水にとることをおすすめします。
またベストなタイミングで氷水にとることによりレシピの再現性を保てますし、過加熱による食味の低下を防げるというメリットもあります。
卵は加熱条件にシビアな食材です。
卵の鈍端に穴を開けると剥きやすくなる?
卵の鈍端に穴を開けると殻を剥きやすくなります。
ゆでる前の卵の鈍端に穴を開けておくと、気室から空気が抜けやすくなるために内圧が上がりにくくなります。それにより「卵白と卵殻膜の固着が起こりにくくなる」「茹でている途中に中身が飛び出しにくくなる」などのメリットが得られます。
しかし鮮度の低下や冷水ほどの効果は望めません。
確かに卵の鈍端に穴を開けることには効果がありますが、気室の空気は穴をあけなくても抜けます。この場合に重要なのは「空気の抜けやすさ」ではなく「どのくらい気室が大きくなっているか」ですので穴を開けても効果を感じられないこともあるはずです。
このことからも穴を開けることの優先順位は高くありません。
圧力鍋で茹でた卵は殻を剥きやすい?
圧力鍋で茹でた卵の殻はきれいに剥けます。
圧力鍋は圧力をかけることで水の沸点を上昇させて調理します。ゆで卵の殻が剥きにくくなるのは卵白に含まれている二酸化炭素が膨張して卵白が卵殻膜に押し付けられてしまうためですが、圧力鍋であれば押し付けられることはありません。
これは圧力差が生じないためです。
大気圧下で茹でられた通常のゆで卵は卵の内圧だけが高まりますが、圧力鍋では卵の外側の圧力も高まっているために卵白が卵殻膜に押し付けられるようなことが起こりません。そのため卵白と卵殻膜の固着が起こらずに殻が剥きやすくなります。
圧力鍋でのゆで卵は気持ちがいいくらいにツルッと剥けます。
まとめ・ゆで卵の殻を剥きやすくするには?
ゆで卵は氷水にとると剥きやすくなります。
卵の殻を剥きやすくする方法には「産卵後10日ほどの卵を使う」「ゆで上がったら氷水で冷やす」「卵の鈍端に穴を開ける」「圧力鍋で茹でる」などがあります。いずれの方法にも効果はありますが、まずは氷水にとることが重要です。
鮮度の氷水にとることを意識するだけでも格段に剥きやすくなります。